川端裕人"動物園にできること"を読了。
これは、著者が
アメリカに滞在した際に、
アメリカの色々な動物園を訪れ、現状についてまとめたルポになっている。
アメリカでの動物園の状況が良くわかる本になっていると思う。
ランドスケープ・イマージョンという考え方、エンリッチメントから、大きな動物園と小さな動物園の住み分け、そして冷凍動物園の事。様々な動物を対象に述べられているが、決して動物園のやり方の礼賛ではなく、逆に外側の視点、中でも動物園否定派のアニマル・ライツを訴える人や、人間より生命一般に中心をおく、ディープ
エコロジーという考え方を持つ人、中には
グリーンピースの活動が生ぬるく!!てさらに実力行使を求めて団体を作ったような人にコンタクトを取って、実際に動物園を見てもらい話しを聞くという事も行っている。非常に面白く、また動物園についての様々な考え方を見ることが出来てオススメの本である。最後には日本の動物園についても述べられているが、この時(1999年)の時点での日本の動物園はいかに意識が低かったかということも理解ができる。また、現在の様子も書き下ろされており、日本らしいイマージョンやエンリッチメントの取り入れ方もわかる。徐々に良くなってきているのでしょう。
印象に残ったのは、小さな動物園の項での、「地元の動物を紹介する」「毎週ちょこっと訪れるような動物園にしたい」という園長の考え方と、訪れていた老夫婦に「大きな動物園が遠くて残念でしょう」と聞いた際、「(大きな動物園は)孫が行きたがった時に、一年に一度でも行けばいいでしょう。それよりも地元にこんないい動物園があってラッキーよ。あたしたちは毎週来てますからね」という言葉。動物園が地元と強いつながりを持っているというのは、やはり素晴らしい事だと思う。日本の動物園では小さな動物園が経営などが苦しくなってきているが、
発想の転換が必要なんだろうと思う。