探偵より

 柄刀一"十字架クロスワードの殺人"を読了。

 IQ190で生活能力ゼロの天才天地龍之介のシリーズ第4作にして初の長編。題名にクロスワードとあり、各章の題名はクロスワードを解くことで出てくる仕掛け。物語の中でもクロスワードが重要な一つではある。今作では、龍之介が祖父から引き継ぐはずだった遺産にかかわる詐欺事件から始まり、龍之介、光章たちが自動車事故に巻き込まれ、いわゆる嵐の山荘的な展開になり、そこで殺人事件が起こる。離れ離れになった一美のほうでも、行方をくらませていると思われていた女性が絞殺され、コンクリートに半身埋まって腕が切り取られた状態で発見される。その後一美も襲われるなどの展開。
 面白いのは、物語中では探偵役の龍之介は自分達の方しか最初は情報がないわけで、読者は物語り全体を俯瞰している以上、全ての情報が与えられた状態で殺人事件などの謎を考えることができる。これはミステリではある意味普通なわけだけれど、クロスワードも考えれば情報を全て与えられてマスを埋めるそんなとこもクロスワードがキーなのかも。