毛色の違う…

 2冊を読んでみた。1冊目は機本伸司"神様のパズル"。

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

 単行本で出た時から気になっていてやっと読めた。設定は今よりちょっと未来。物理系の学科にいるダメ学生の主人公男。冷凍精子を使って生まれた天才少女が中心となっているSFもの。表紙はライトノベルっぽいけど、中身はがっつりとSFではある。「宇宙は無から生まれた」ということから、「人に宇宙が作れるのか?」という問いの答え探しが2人を中心に描かれている。物理の難しい話が出てくるのかと思いきや、ゼミのテーマとして設定していることから、学生のやりとりの中で描かれて、深いところはうやむやに(笑)という感じで、物理の知識がなくても楽しめる、知識があるともっと楽しめる、という感じ。ゼミ内の人間関係や、天才少女の天才ゆえの悩みと脆さなども描かれていて、久しぶりにSFものを読んだけれど楽しめた。第3回小松左京賞受賞作品ということで、大森望さんもあとがきで高評価。次の作品も楽しみにしたい。
 2冊目は清涼院流水"秘密室ボン QUIZ SHOWクイズショウ"。 
秘密室ボン QUIZ SHOWクイズショウ (講談社文庫)

秘密室ボン QUIZ SHOWクイズショウ (講談社文庫)

 こちらも久々の流水大説。えらく薄いけれど。気がつくと、記憶がなくて真っ暗闇の中にいた"メフィスト翔"という男。目の前には01:30:00:00という表示があり、カウントダウンを始める。。自分の周囲は半円形のドームのようなものに囲まれていて、出ることが出来ない。助けを求めると"密室の神様"という人の声のみ聞こえて、ここは「ヒミッシツ=秘密室」で、カウントダウンが終わると死ぬのだといわれる。その脱出方法を求めて、間違うと死んでしまうというクイズに挑んでいくという話。流水さんの密室に対する考え方が書かれていると思われる密室クイズ、メフィスト賞10周年のために書かれたための、言葉遊びやらなんやら。最後のおまけとしてメフィスト賞のあれこれまで付いている、相変わらずの?流水大説。いろいろな面で面白かった。