意味が違うのね

 石田衣良"LAST"を読了。

LAST (ラスト) (講談社文庫)

LAST (ラスト) (講談社文庫)

 これは、石田衣良さんが、"4TEEN"で直木賞を受賞した後の第1作だそう。"4TEEN"は、苦しい中でも少年たちの明るさが光っている作品だったと思っているけれど、"LAST"は、中年の人物が中心で、深さは違うけれど、暗闇の中にいる人たち。その苦しさに陥った原因を、障害者の性の問題であるとか、金融の問題であるとか社会的な問題を含んで描いている。ただ、根本の原因となっているのは、経済的問題であり、法の不備であり、公の力の無さ、関心の無さといったところ。日本という国(限らないかもしれないけど)は、結局そこに苦しさの原因があるのか…と感じてしまう。
 この"LAST"は、アオリ文でも「人生の最後」みたいな書き方をしているけれど、そういやLASTってのは、意味はそれだけではないですねぇ。受験でやりましたよ(笑)。小説の中では完結しない、その後も「続いて」いく物語。最後は良い終わり方になって欲しいと願わずにはいられない。